産業遺産情報センター見学会 遠藤健(1期生)
東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻同窓会(以下「PPP同窓会」)は、7月11日午後、
同窓会会員を対象にした産業遺産情報センター(東京都新宿区)見学会を開催しました。この見学会の様子をご報告します。
◆産業遺産情報センターについて
この施設は、国(内閣府)が設置する展示広報施設(写真1)。2015年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の概要を中心に、産業遺産に関する情報が集まっています。アクセスは都営地下鉄大江戸線若松河田駅から徒歩6分。「この施設があることを今日まで知らなかった」との声も聞かれました。
◆明治日本の産業革命遺産について
案内者(遠藤)から、明治日本の産業革命遺産は、(1)北は岩手県釜石市から南は鹿児島県鹿児島市まで8県11市に分布する遺産群であること、(2)23の構成資産全体で1つの世界遺産価値を持つこと、(3)構成資産の中に今なお産業活動に従事する稼働資産が含まれることをご説明しました。また、世界遺産に登録されるには少なくとも「真実性」と「完全性」の要件を満たす必要があることに加え、世界遺産登録に至るまでの活動概要をお示ししました。
その後、明治日本の産業革命遺産の対象となる「製鉄・製鋼産業」「造船産業」「石炭産業」は、試行錯誤の挑戦・西洋の科学技術の導入・産業基盤の確立という時系列で、僅か半世紀余りでの急速な発展を遂げたこと。たとえば、蒸気機関の導入が石炭産業の発展に果たした貢献や、西洋の技術と日本伝統の匠の技が融合することにより我が国近代製鉄の礎が築かれたことなどをご説明しました。
◆端島での暮らし振りについて
同センター主任島民ガイドの中村陽一氏から、閉山当時(1974年)における端島(通称:軍艦島)の1/300スケール模型を用いて、当時の暮らし振りの話がありました(写真2)。 一島一家のコミュニティ、豊かな生活、良質な原料炭の採炭といったお話のほか、事実に基づかない誤った歴史情報の拡散に対する旧島民としての思いをお聞きしました。
その後、大型LEDビジョンにて、米国公文書館から入手した写真類を編集した貴重な映像展示を観覧しました(写真3)。
◆結びにかえて
幕末から明治にかけて、「殖産興業」のビジョンに基づき官が産業拠点を開発し、民の知恵と資源により産業の効率化と発展が実現しました。まさに公民連携そのものです。この時代を生きた人々の思いや覚悟を胸に、今を生きる私たちが、公民連携という手法・発想を用いることで何をなすことができるのか。自らに問い続けていきたいと思います。
◆参加者からの感想
日本が急速に変革していった時代の変遷が見学できる貴重な施設だと感じました。点で繋がっている世界遺産を一括で把握できることが素晴らしいと思います。「変革」を求められるあらゆる企業人にとって、見学する価値のある施設だと思います。
端島に関しては、私は全くの無知でしたので、非常に興味深いお話でした。ドラマについても見たいと思いましたし、企業の投資手法についても、今の時代では難しいと思いますが興味深かったです。家族含めた衣食住を用意して働いて頂き、従業員側の満足度も高いという「Win-Winの関係」を構築できている。素晴らしいと思います。最終的な投資キャッシュフロー結果を見たいなぁと思いました。 (齋藤聖文 1期生)
歴史に詳しくない私にとって、聞いたことのある国内の地名・施設名が流れをもって俯瞰できるという点で興味深く見学し、話を聞くことができました。
「坂の上の雲」と同じ時代を扱っているもので、今の1/3くらいの人口しかいない日本が 急速に近代化・工業化を進めていった過程を知ることは、見学者にとって前向きな活力をもらう助けになると思います。20~30代のキャリアのスタートの人や50代の折り返しを迎えたシニア層に受けるはずなので、そのあたりの広報がうまくいくことを期待します。
(山平将公 1期生)
明治の日本が、わずか半世紀余りで世界有数の工業国へと発展した背景には、先人たちの知恵と挑戦、そして変化を恐れない行動力がありました。今、日本はAI革命という新たな転換期を迎えています。あの時代の勢いに学び、技術を積極的に取り入れながら新しい価値を生み出すことで、日本が再び世界をリードする国になってほしいと強く感じました。
(山本ひろこ 11期生)
端島(軍艦島)の暮らしについて、当時の模型を使って豊かなコミュニティや生活の様子が紹介され、島民としての思いも語られていたと思いました。歴史的な産業発展の証人たちが今も残り、当時の暮らしぶりを活き活きと伝えてくれる遺産だと感じました。
(唐也平 13期生)
今回の見学会では、日本の産業発展の歩みを「産業間の連携」と「経年変化」の視点から学ぶことができました。科学技術や企業単体、業界ごとの展示は見たことがありますが、産業全体を俯瞰できる展示は初めてで、大変興味深く感じました。また、ショールームやカスタマーリレーション業務に携わる立場として、お客様の幅広い関心に応えることの重要性を改めて認識しました。産業や技術の歴史に興味を持つお客様への情報提供先としても価値のある施設だと思います。 (武内真弓 14期生 AGC(株)在勤)
※ 産業遺産情報センターは館内撮影禁止の施設ですが、本稿における写真は、同施設管理者の
許可を得て撮影したものです。

