TOYO-PPP アルムナイ 紹介
公民連携を「実装」する金融の力
― 行政から金融へ、吉永さんのキャリアと思想
東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻のアルムナイである吉永さんは、行政、地方金融系シンクタンクを経て、現在は鹿児島銀行の融資部門でPPP関連業務に携わっています。制度設計、事業評価、資金調達という異なる立場を経験しながら、一貫して「公民連携をどう実装するか」を問い続けてきました。
行政の現場から見えた課題
行政時代、吉永さんが強く感じたのは「発注者としての限界」でした。形式や手続きは整っていても、本当に合理的な方法が選ばれているのか。単年度契約や従来型の発注に縛られ、現場の負担が増していく――そんな状況に疑問を持ちました。
一方で、上司が教職員住宅をPFI的な手法で整備した事例に触れ、「分割払い」「資金循環」「合理的な整理」という考え方に可能性を見出します。制度そのものよりも、“どう回すか”という設計力が重要なのだと気づいたと言います。
金融の視点でPPPを見る
その後、地方金融系シンクタンクを経て、現在は地方銀行でPPP案件に関する自治体支援やコンソーシアム組成支援、事業性評価に関与。金融の立場から見るPPPは、公共性だけでなく、持続可能なキャッシュフローの設計が不可欠です。
「PFIは合理的にやるための手法。書類を減らし、仕分けをし、資金の流れを整えることで、実務はずっとシンプルになる」
そう語る吉永さんにとって、PPPは“新しい制度”ではなく、複雑になった現場を整理するための方法でもあります。
現場主義と合理性
吉永さんの特徴は、徹底した現場志向です。建物の状態は実際に見る。残すべきものは残し、壊すべきものは壊す。無駄な投資はしない。コンサルタントが机上で考えるだけでは見えない現実がある、と指摘します。
また、自治体職員の減少や技術者不足、インフラ老朽化といった現実を踏まえ、「職員の力量を超える仕組みではなく、ちょっと頑張ればできる合理的な方法が必要」と強調します。
公民連携専攻で得たもの
専攻での学びは、制度やスキームそのもの以上に、立場を越えて議論する力でした。行政、民間、金融、それぞれの論理を理解し、つなぐ視点。そのネットワークは今も大きな財産だと言います。
「哲学的な発想と、実際にやってみせる実務。この両方があってこそ、公民連携は前に進む」
現役生・OBへのメッセージ
現役生には、多様な立場の仲間と議論することの価値を、OBには、分野を越えて知見を持ち寄ることの重要性を、伝えたいと語ります。
「新しい手法に飛びつく前に、基本を大切に。合理的で、持続可能な方法を積み重ねていくことが、結果的に地域を守ることにつながる」
行政、金融、そして地域の現場を横断してきた吉永さん。その歩みは、公民連携人材のひとつの可能性を示しています。

吉永ひとみ氏
東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻修了、行政、地方金融系シンクタンクを経て、現在は鹿児島銀行の融資部門でPPP関連業務を担当
以 上
